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2009’09.13・Sun

回顧録。

私は便宜上「白」と呼ばれます。
嘗てオールド大陸の中央地方に召喚され、ほんの僅か国政を執り行っておりました。
私の事は、ふむむ、旧い政治家ならご記憶に有るやも知れませぬ。


       *   *   *


 王城は城壁の大半を削られている。
 しかし攻撃の手はやや緩んでいる、或いは、これは凌げるか。

 2003年10月初旬、女は決断を迫られていた。
 現政権下の何れかの国民が呪竜を召喚し、落城させ、国家権力を保つ方法。
 所謂「回収」を提案する声も上がった。

「築城に専念せよ。我等は正道を往く」

 力の前に策は無力だと、策士である女は悟っていた。
 しかし、力が去った後は。
 国家が何れの手に渡ろうとも、奪還する勝算は有った。
 この国を愛する民の力が有れば、焦土から復旧する事も可能だ。

 だが、女の心は既に国民から離れていた。
 泰平を築くのも国民であり、女の努力を嘲笑うのも国民。
 一国家を狂気じみた情熱で築き上げた女は、その賞賛と同時に、歴史の暗部から呪いを受ける身であった。

「報告します。帝都コルテモに呪竜――が・・・」

「・・・そうか」

 新たに出現した呪竜は、よく知った男の名を冠していた。
 座して終末を待つ女を惰弱と判じたか、単独で回収に乗り出したのだろう。
 或いは開闢から今日に架けての確執から成る、女への挑戦だろうか。

 彼は女に玉座を還さないだろう。
 また、差し出された所で、女も受領を拒絶する。

「そう云う漢だ」

 女は笑った。
 彼が少し羨ましかった。裏切られたとも思った。

「陛下・・・」

「狼狽えるな。我等の往く道は決まっている」

 ――先生。
 貴方は私を覇王と、武断の王と、評したけれども。
 王道を、と国家の在り方を説いたけれども。
 その実、私は策を弄し、策に耽るだけ。
 ・・・ならば、策略家として、最期まで貫こう。

「本望である」

 女は瞑目し、落城後の策に集中する事にした。


 ――そして、草原の国は落城の日を迎える。


       *   *   *


 黎明期のオルファンヌについての歴史的記録はほぼ失われている。
 落城の戦火によって失われたとされており、現代ではいくつかの史跡にその名残が僅かに伺えるばかりである。
 当時の国王の名が史書に再び現れるのは、呪竜でのオルファンヌ落城から約3年後、他国での内部紛争の時になる。
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